インターネット天文台のハードウェア


RBIO-1 ボードを用いた制御ボックスについて

本制御ソフトウェアは、 共立電子産業製の RBIO-1 ボードを用いた制御ボックスにより、ルーフ開閉、望遠鏡、カメラ電源のオンオ フ、ビデオ信号切り替えを行うことを想定しています。 インターネット天文台の「神経系統」とでも呼べる部分であり、唯一の 独自ハードウェアであることから、ここでは少し詳しく説明をします。

RBIO-1 ボードは、PCのシリアル回線に接続して、簡単なコマンドを 送ることにより「10個の独立したリレーのオンオフ制御」、「4個の 独立した入力の状態取得」が可能な製品です (PDF形式のマニュアル)。
本ソフトウェアのデフォルト(配布状態)では、
リレー制御対象 有効なコマンド
0. 望遠鏡電源
power telescope_on
  (PCR01)
power telescope_off
  (PCR00)
1. カメラ1電源
power camera1_on
  (PCR11)
power camera1_off
  (PCR10)
2. カメラ2電源
power camera2_on
  (PCR21)
power camera2_off
  (PCR20)
3. ルーフ内照明
power light_on
  (PCR31)
power light_off
  (PCR30)
4. 未使用
5. ビデオ切り替え
video camera1_select
  (PCR51)
video camera2_select
  (PCR50)
6. 未使用
7. ルーフ開
roof open
  (PCT7005)
8. ルーフ閉
roof close
  (PCT8005)
9. ルーフ停止
roof stop
  (PCT9005)

のように割り当てられています。注意点としては、5を除くリレーには AC 100V が通電されますので、RBIO-1 ボードの耐電圧から、もう一段の リレーを介して機器に電源供給することです (ボードのマニュアルにその方法が 述べられています)。 リレー 7〜9 へは瞬間しか通電しない(デフォルトの設定では、0.05秒) ため、上のような処置は必要ないかも知れませんが、安全のためには やはりリレーをもう一段設けるべきであると思います。
上の表で「有効なコマンド」として示してあるコマンドは、デバッグの ためなど直接にシリアルポート経由で制御ボックスへコマンドを送出する 場合のリファレンスです。例えば望遠鏡の電源をオンにするならば、 cgi-bin ディレクトリから
./select.sh power telescope_on > `cat ../config/outdev.2`
のようにコマンドを発行します。これは RBIO-1 コマンドを直接に
echo PCR01 > `cat ../config/outdev.2`
のように送出しても同じです。あるいは select.sh を用いずに power.sh または roof.sh を用いて
./power.sh 2 telescope on
という使い方もできます。powr.sh や roof.sh は内部的に select.sh を呼び出して、上のような方法で直接シリアルポートへコマンドを 送出します。

一方、四つの入力ポートは次のように割り当てられています。
入力状態取得有効なコマンド戻り値
0. ルーフ全開信号
roof isopn
  (FB0)
0 または 255
1. ルーフ全閉信号
roof iscls
  (FB1)
0 または 255
2. 太陽観測許可
solar isready
  (FB2)
0 または 255
3. 未使用

上の表で、入力2の太陽観測許可は、このスイッチがオフの時は望遠鏡を 太陽に向けることができないようにし、望遠鏡とカメラを保護するため に設けたものです。太陽用のフィルターを装着したり口径を絞ったりして 太陽観測レディーとした場合にのみ、管理者がスイッチをオンにします (他の天体にも望遠鏡は向きますが、極端に減光されていますので当然 写りません)。

以上の動作を理解した上で、我々が用いている制御ボックスの全体像を ながめてもらいましょう。
前面パネル 背面パネル 制御ボックス内部
内部には、RBIO-1 ボードの他に、二組のリレーボード(一つはリレー 1〜4につながる電源リレー、もう一つはリレー7〜9につながるルーフ 開閉リレー)と AC アダプターが配置されています。あとはそれらの 配線だけですので、それほど複雑なハードウェアではありません。 前面パネルには、四個の AC コンセント、これらは遠隔制御の他に前面 スイッチにより強制オンオフができます。ビデオ入力・出力端子と PC接続用コネクタも前面にあります。 背面パネルには、ルーフ制御用のコネクタが二つ(6Pは開閉信号用、 4Pは状態取得用)と、太陽観測許可スイッチがあります。

我々の知る範囲で RBIO-1 を用いる制御ボックスはベストのソリュー ションであると考えていますが、それ以外ものであっても、コマンドに よってリレーのオンオフを制御できる装置であれば使用可能でしょう。 その場合には、roof.dat, power.dat の両ファイルを修正することが 必要となるでしょう。例えば roof.dat にはキーワード open に対し、 その値 PCT7005 が記述されています(この意味については、RBIO-1 マ ニュアルを参照して下さい)。この値を、各サイトにおけるコントロー ラと合ったものに書き換えれば良いわけです。